Eien no Nispa (2019.06.07)
Jun. 13th, 2019 08:54 am[外9390]~この男の名は…幕末の世に6度にわたって北の大地を調査し明治2年「北海道」の命名を提言した その人である。
[外9390]~明治維新の23年前武四郎は 初めてヤウンモシリ 蝦夷地に渡った。
この地に たびたびロシア船が出没する話を聞き国を守るため 詳しい地図を描こうと思い至ったのである。
武四郎は蝦夷地の入り口 箱館に逗留して内陸へ行く手だてを探っていた。
[外9390]~おや。
まだ そのような お姿で…。
(松浦武四郎)寄るでない
!これは 蝦夷測量図の写しだ。
長崎から携えてまいったのに船旅で ぬれてしまった。
長崎
!松浦様は長崎から いらしたんでございますか?ああ。
長崎の出島に出入りしている者の話では清国がエゲレスに侵略されたそうじゃ。
同じようにロシアも蝦夷地を狙うておるらしい。
それで 長崎から この蝦夷地まで…。
これで 案内人を手配してくれ。
まずは 蝦夷地のことを知らねば国の守りも固められぬ。
海岸から内側を探索し内陸の絵図を作りたい。
頼む。
この金で蝦夷地を知り尽くした案内人を探してくれ。
はあ…これだけの金子がございますれば案内人は いくらでもおりまする。
されど 手形は どうされますか?蝦夷地は 私ども和人の住む土地とは厳重に区別されておりまして…。
新堂屋。
はい。
そこを なんとかしてもらえぬか?そのほうは蝦夷地で 一二を争う商人であろう。
はあ…。
さて いかがいたしましょうか。
(佐七郎)これが 手形にございます。
松浦様は当家の手代 吉兵衛といたしております。
かたじけない。
これは この国のことを憂いてこの蝦夷地にまでいらっしゃった松浦様への私どもの せん別にございます。
心得た。
新堂屋 誠に世話になった。
ええ。
六之助
へい。
当家の手代 六之助がお供いたします。
道案内と人足は 番所を通ってからアイヌを手配いたしました。
よろしく頼む。
へい。
よし
!「新堂屋の手代 吉兵衛」。
通れ。
へい。
「六之助」。
通れ。
へい。
ここからが 蝦夷地でございます。
[外9390]~ウテルクと申します。
松浦武四郎と申す。
よろしく頼むぞ…。
ウ…?ウテルクにございます。
ウテルク。
鉄の足を持つ武四郎は険しい山道でも一日15里 60キロを歩いた。
そして 山道の距離を歩数で測った。
3歩が1間と勘定して武四郎は正確な地図を描いていったのである。
[外9390]~絵が得意だった武四郎は北の大地の美しい風景やこの地に生きる人々の姿を描き残していった。
[外9390]~大丈夫か?へい…。
[外9390]~知床岬までを調査した一行は太平洋側を通って帰路についた。
武四郎はアイヌの言葉の響きを残した地名を詳細に記録していった。
[外9390]~はあ… ああ…。
ウテルク あれはどこだ?[外9389](アイヌの言葉で)ポロチケウェ?ポロチケウェ…。
モルラン…。
今 この辺りにおるのか。
(ウテルク)ピリカ。
うん?うつくし…。
ウテルクお前 和人の言葉ができるのか?海。
おお…
!空。
おお
!雲。
おお~
!ウテルク。
蝦夷地の海 空 雲は…。
ピリカであるな。
ピリカ~
!ピリカ~
!ピリカ~
![外9390]~そして よくとし武四郎は 樺太を目指した。
当時 樺太を 和人は「北蝦夷地」と呼びロシアとの間に国境は定められていなかった。
[外9389]ほら
! 行け
!(六之助)この漁場には 蝦夷地から若い働き盛りのアイヌが連れてこられております。
無理やり 力ずくで。
なんと…
!おい
!これを使え。
薬だ。
これを傷口に塗るとよい…。
おい。
見ない顔だな。
何者だ
![外9389]こら
!何をしておる
!働け
![外9389]お前もだ
!ああっ
! ああっ…
!ああっ ああっ…
![外9390]~(湊谷彦兵衛)さあ どうぞ。
ああ…。
料理は お口に合いませぬか?いや うまい。
うまいが…。
「うまいが」?あのような扱いを受けているアイヌたちがとった魚や貝であると思うと…。
我々 商人は「運上金」という名の年貢を松前様に取られております。
それはそれは 厳しい年貢でございますからアイヌも こき使わねば 払えませぬ。
悪いのは 我々 商人ではなく松前様なのでございますよ。
湊屋殿は どう思われるか?この地に生きるアイヌを大切にせねば蝦夷地の平穏も発展もないと思うがのう。
これはこれは…。
大層なアイヌびいきでいらっしゃいますな。
ハハハハハ…
! そうですね~。
(彦兵衛)さあ どうぞ。
(六之助)おお
! ありがとうございます。
あっ… あっ はあ…。
ウテルク 休もう。
(六之助)やはり船にすれば よろしゅうございましたな~。
幾度も申したではないか
!蝦夷地を知る者はアイヌしかおらぬ。
わしは その内陸を知りたいのじゃ。
(咆哮)ああっ
! あっ あっ あっ…
!うわ~
! ああっ ああ~
!(咆哮)(咆哮)ううっ…
!ああ~
!(咆哮)ううっ…
!(咆哮)うわ~
!(崖から落ちる音)ウテルク
!しっかりいたせ ウテルク
!お前は勇敢な男だ
!お前がおらねば死んでいた…
![外9390]~すまぬ。
(リセ)なぜ 謝る?ウテルクは 一人なら熊から逃げおおせたであろうにわしのために戦い 腕を失ってしまった。
わしさえ おらねば…。
ウテルクは生きている。
生きてはいるが…。
わしは 松浦武四郎と申す。
武四郎?そうだ。
「私たちアイヌはみだりに自分の名を名乗らない」。
なぜだ?でも あんたには教えてあげる。
私はウテルクの妹 リセ。
私のニシパの とと様 かか様。
ニシパ?「ニシパ」は 大切な人のこと。
それは そなたの夫のことか?このお二方は そなたの夫の両親か?イチニカ 私の息子。
わびにもならぬが これを食べてくれ。
米と みそだ。
酒も少しある。
傷に良い薬もある。
せめてもの わしの気持ちだ。
[外9390]~(歌声)[外9390]~(歌声と手拍子)このコタンは 女子が多いのだな。
アイヌの男は 皆北蝦夷に連れて行かれる。
コタンに残された女はシサムの女にされる。
侍 商人…。
お前らシサムは 皆 鬼だ。
私も シサムの女にされた。
逆らえば殺された。
シサムの子ども はらんだ女も殺された。
私 殺される前に逃げた。
とと様 かか様はらんだ私 迎え入れてくれた。
名前もくれた。
イチニカ。
それで 言葉も覚えたのだな。
だけど 北蝦夷から戻ってきた夫子どもの顔を見て ある日 死んだ。
エカシポロトのほとりで いつも歌を歌う。
死んだ息子に聴かせてる。
イチニカが大人になったら 私も死ぬ。
そなたの夫は そのようなことを望んではおらぬと思うが。
あんたは いいシサム。
私が初めて見た いいシサム。
生きてるうちにいいシサムに会えてよかった。
いいシサムか…。
ウテルクは わしの命の恩人だ。
もっと いいシサムになって恩返しをせねばならぬ。
「恩返し」?恩返し。
恩返しとは…。
[外9390]~(歌声と手拍子)(手拍子)[外9390]~(歌声と手拍子)[外9390]~よし
!そこだ
!おったぞ
!やったな
![外9390]~「武四郎は いつまでここにいる?」。
ウテルクの傷が治るまでだ。
ウテルクに命を救ってもらいそのうえ 長い間 世話になった。
武四郎。
これをあげる。
リセが織ってくれたのか?リセ。
[外9390]~何してる?月の明るい夜 武四郎は外に出る。
どうして?「里世」と書いてある。
「里の世」「コタンのモシリ」という意味だ。
「コタンのモシリ」?リセ。
わしは 明日 ここをたつがリセに頼みがある。
イチニカが 一人前になっても生きていてほしい。
リセが生きていると思いながらわしも生きていく。
死ぬのは どうか やめてくれ。
その願いを込めて 印を彫った。
その印がリセを守ると願いを込めて。
武四郎。
ずっと ここにいるつもり あるか?そしたら 私は死なない。
イチニカも武四郎のことが大好きだ。
すまぬ。
それはできぬ。
リセ…。
わしは 16の年に家を出て蝦夷地に来るまで国じゅうを旅してまいった。
諸国の風物に接したくさんの知己も得たが己の使命が何なのか分からずずっと迷っておった。
されど 蝦夷地に来て初めて分かったのだ…
!己のなすべきことが。
わしは この蝦夷地で見たことを江戸に戻って大勢の人に知らせねばならぬ。
この国のためにも アイヌのためにも。
わしは ウテルクのように勇敢な男ではない。
されど なさねばならぬ使命があるのだ。
もし…リセが わしと 一緒に来てくれるならイチニカと共に 江戸に参ろう。
私は ここで生まれた。
私は ここに住む人。
ここに住む人…。
どこにも行かない。
[外9390]~その着物は置いてゆけ。
これも いらない…
!これだけは持っていてくれ。
わしの… リセへの思いだ。
[外9390]~[外9390]~江戸に戻った武四郎は自分の目と足で確かめたヤウンモシリ 蝦夷地のありさまを書物として 次々と世に送り出した。
[外9390]~(佐島勘解由)これが 江戸でたいそうな評判のようじゃ。
(佐七郎)「蝦夷大概図」 「多氣志樓」?熊に食われて死んだのでは…?そのほう 何ゆえそのようなことを知っておる?あっ いえ…。
うわさに聞いただけでございます。
湊屋 はしがきを読んでみよ。
はっ。
「松前公は 権勢を欲しいままにしその家臣 御用商人らは アイヌに対し酷使のうえ欺きだまし 財物を かすめ取りよって アイヌの数は 近年大幅に減りしありさまである」。
続けよ。
(彦兵衛)「蝦夷地を松前家より召し上げご公儀 御みずから 仁政をしかねば早晩 蝦夷地は滅び ひいては日本国滅亡の遠因となること必定。
よって 今警世の書 改革の檄としてこの絵図を… 世に問うものなり」。
松浦武四郎とやら 手形も有せず何ゆえあちこち旅することが できたのか…。
ともあれ 生かしてはおけぬ。
即刻 始末するべく江戸屋敷の者に命じておいた。
はは~っ…
!武四郎は 蝦夷地のありさまを直接 幕府に伝えようとした。
警備警衛の策 何もなく蝦夷地は 丸腰そのもの。
さらにこのまま松前家の悪政を許し悪徳商人をのさばらせておけば内から滅びまする。
(堀井出雲守)「内から滅びる」?さようでございまする。
そのことを ご老中 阿部伊勢守様にじきじき お伝え申し上げたくお願い申し上げまする。
そのほうの言うことは分かった。
されど この書物に記されたことがまことかどうか確かめようがない。
信じるに足る証しはあるか?証し…。
[外9390]~[外9390]~浦賀に アメリカの黒船が4隻 現れたよ~
!総督はアメリカのペルリ身の丈 六尺 四五寸の大男だ
!さあ 持ってった
! 持ってった
!先ほど お訪ね申した松浦武四郎でござる
!追われておる
! 開門 願いたい
!開門…
! 開門
松前家は 本気でそのほうを抹殺する気だな。
松前家?(堀井)松前家から放たれた刺客であった。
なんと…。
そのほうの書物がまことのことを記しておらねば松前家も そこまでは怒るまい。
しばらくは 我が屋敷にて 身を隠せ。
ありがたき幸せにございまする。
松浦武四郎にございます。
ご老中 阿部伊勢守様である。
はは~っ
!面を上げよ。
この国のために蝦夷地をどうすればよいか言うてみよ。
はっ…。
第一に 蝦夷地に古くから住むアイヌを味方にすること。
そのために 松前家と商人が結託してアイヌから産物や労働を搾取することをやめさせること。
第二に ロシアとの明確な国境を北蝦夷地に定めること。
それだけか?まだ明らかにされていない蝦夷地内陸の地勢を明らかにし通行に便利な道を作って幕府の統治を 速やかに行えるようにすることにございます。
よう分かった。
このたび 蝦夷地を幕府の御料所といたす。
そのほうも この堀井と共に蝦夷地に渡り内陸の地勢を調べてまいれ。
ははっ
!武四郎は 幕府の役職を得て再び ヤウンモシリ 蝦夷地に渡った。
[外9390]~調査は 200日にも及び寒さに命を落とす者さえあった。
[外9390]~[外9389](機を織る音)武四郎だ。
[外9390]~久しいな。
元気であったか?皆 元気か?みんな いない。
みんな 死んだ。
エカシ フチ ウテルク…みんな 死んだ。
ウテルクが? なぜ?前の夏 北蝦夷に連れて行かれた。
冬になっても戻ってこない。
きっと死んだ。
片腕でも 漁場に連れて行かれたのか?アイヌ どんどんいなくなった。
シサムの役人はアイヌの男を漁場に連れて行く。
コタンに残された女夫にする男がいない。
アイヌの子ども 生まれない。
アイヌ 滅びる。
ここに生きるアイヌ 滅びる。
そんなことはさせぬ。
蝦夷地も幕府の御料所になったのだ。
だから これからアイヌの生活もきっと良くなる。
信じない。
シサムは同じ。
変わらない。
そんなことはない
!必ず 良き蝦夷地にしてみせる
!信じない。
幕府も あんたも信じない。
私が抱きつくとでも思ったか?喜ぶ 飛びつくとでも思ったか?出ていったシサム 偉い人になった。
きれいな着物着て 戻ってきた。
でも 私 何もうれしくない。
誰も戻ってこない。
何も帰ってこない。
あんたが来ても 何も変わらない。
帰れ…
!分かった。
帰る。
ただ もう一つだけ聞かせてくれ。
イチニカはどうした?イチニカは元気なんだろう?あの子は 半分 シサム。
めったに戻ってこない。
ここにも ほとんど帰ってこない。
白鳥屋で働いてる。
ウテルクに命を救われながら何もできずこのコタンを出て行ったこと 謝る。
だが わしは ここに住むアイヌがすべてのアイヌが安心して暮らせるようこれからも懸命に働く。
邪魔をした。
達者でいてくれ。
[外9390]~[外9390]~[外9389]逃すな
![外9389]はっ
!何も言うな。
分かっておる。
ニシパ…。
私の… ニシパ…。
リセ…。
武四郎の腕の中 うれし…。
しっかりせい
! リセ… リセ
!死んではならぬ
! リセ
![外9390]~(鳴き声)これ 武四郎が持っていてくれ。
ああ。
武四郎。
何だ?俺は江戸に行く。
白鳥屋の丁稚になったのではないのか?白鳥屋 辞めた。
今はイチニカでもない 市助だ。
俺は蝦夷地を出て 広い和人の国を見る。
和人の言葉 和人の文字を知る。
だから 江戸に行く。
お前が蝦夷地を出るとコタンで眠るリセが悲しむな。
母さんは悲しまない。
コタンを出て白鳥屋に行くときも悲しまなかった。
まことか?「コタンにいても漁場に連れて行かれて殺されるだけだ。
だから 好きにしろ」と言った。
そうか。
リセは 賢い母さんだ。
俺の母さんは いい女だ。
「いい女」?そんな言葉も白鳥屋で習ったのか?白鳥屋の丁稚は「江戸の女は 皆 いい女だ」と言った。
だけど 浮世絵を見たらみんな 変な顔だった。
江戸の女は みんなあんな変な顔なのか?その目で確かめてみるんだな 市助。
武四郎はアイヌの家族を 一軒一軒 訪ね歩き正確な人別帳を作った。
その結果 アイヌの人口が激減していることも明らかになった。
調査の結果を携え 武四郎は江戸に戻った。
そのころ 武四郎を任命した老中阿部正弘が死去。
開国派の井伊直弼が大老となっていた。
江戸の自宅で 武四郎は日夜ヤウンモシリ 蝦夷地の内陸の詳細を記した。
そして 「東西蝦夷山川地理取調日誌」を完成させた。
おかえり。
ただいま戻りました。
きょうは 何の学問をしたのだ?はい。
園部塾では井伊大老の攘夷派への弾圧についてお話がありました。
ほう… 園部先生は何と?「幕府のやり方に異を唱えた者をことごとく処刑した井伊様は恐ろしき為政者だ」と仰せでございました。
和人は アイヌだけでなく同じ和人も弾圧するのですね。
幕府も松前家も同じか。
[外9389]おい 急げ 急げ
![外9389]もっと早く刷れんのか?これらの本は…
!武四郎は 地図のほかにも蝦夷地のことを分かりやすく描いた絵本を幾種類も出版。
これらは 爆発的に売れ続け今でいう大ベストセラー作家となった。
しかし…。
「近世蝦夷人物誌」人心を惑わす悪書なり。
よって 出版は あいならぬ。
それは 何ゆえでございますか
!人心を惑わす悪書だからじゃ。
この本は 北の地に住む天性麗しき心根のアイヌたちを描いたもので人心を惑わす所なぞ一か所とてございません
!ご奉行様のご判断である
!この「近世蝦夷人物誌」の出版は許されなかった。
為政者にとっては不都合な書であったからだ。
うああ~
!武四郎の理想も夢も絶望も踏み倒して時代は猛スピードで進んでいった。
そして 幕府は 大政を朝廷に奉還した。
しばらく待っちょってくいやんせ。
はっ…。
(河田重吉)新政府参与 大久保利通[外01]にござる。
ははっ…
!松浦さん もう そういう時代ではなか。
座りなさい。
さあ…。
はっ
!早速だが 新政府は蝦夷地の開拓を重要課題と考えておる。
ついては そのほうを箱館府判府事に任じたい。
まずは 蝦夷地に 新しい地名を付けねばならぬと思うておる。
その案を 松浦さんおはんに出してもらいたか。
旧幕府の記録にも目を通したがそのほうの調べ 誠に見事。
蝦夷地の名を改めアイヌと日本人を平等に扱う政策をも立案せねばならぬと思うておる。
ぜひ力を貸してもらいたい。
身に余るお言葉 身命を賭してお役目 全ういたしまする
!話は以上である。
大いに励んでくれ。
ははっ…
!箱館府判府事となった武四郎はまず 地名の選定に取りかかった。
積丹 余市小樽 石狩 札幌などアイヌ語をもとにして地名を漢字二文字に落とし込む作業に日夜 まい進した。
(鍋島直正)松浦か?はっ
!地名選定のほう 進んでおるか?はっ
! 着々と進んでおります。
そうか…。
ならば 終わりしだい最も重要な蝦夷地の改名に取りかかれ。
蝦夷地の改名?蝦夷地を正式に我が国に編入する。
蝦夷地の名も 新しい時代を感じさせるものにしたい。
行政区分は王政にのっとって「道」とする。
直ちに案を出せ。
かしこまりました。
回想 私は ここで生まれた。
回想 私は ここに住む人。
[外9390]~蝦夷地の改名案として6つの案を考えました。
「日[外02]見道」「北加伊道」「海北道」「海島道」「東北道」「千島道」。
松浦。
はっ
!そのほうは どれが最も良いと思うのだ?おそれながら それがしは「北加伊道」が最もふさわしいと思っておりまする。
「北加伊道」か…。
アイヌの古い言葉では そこに住む人を「カイ」と呼ぶと聞きました。
「道」は 昔の行政区分で「北に住むカイの地」北加伊道にございます。
よいではないか。
それでは 「北加伊道」で大久保[外01]にお伺いを立てよう。
よくやった 松浦。
はっ
!「北加伊道」か… 雄大であるな。
はっ
!松浦 大儀であった。
ははっ…
!こうして ヤウンモシリ 蝦夷地は「北加伊道」と名付けられた。
松浦武四郎が新政府の役人となってほえておるそうじゃ。
え~
!されど 蝦夷地に入れぬ
!はっ
! どうぞ 今度こそ息の根を止めてくださいませ
!新政府でのやつの地位は幕府のそれと比べると はるかに高い。
殺せば目立つゆえ違う手を使おうと思うての。
(彦兵衛 佐七郎)違う手?ふふふ…
!東久世長官 お待ちくださいませ
!(東久世通禧)松浦は 声が大きいのう。
新しい法律のことでございますが…。
それは またにせい。
いいえ 待てませぬ
!松前藩と商人が手を組んでアイヌの人々を酷使するような悪弊は即刻 撤廃せねばなりません
!新政府とアイヌが対等に商いをする制度を法律で定めなければなりませぬ。
されど 文字もないような者どもとどうやって対等につきあうのじゃ。
アイヌが文字を学ぶことを幕府や松前藩が遠ざけただけです。
アイヌには 美しい音楽や踊りがあり伝承によって歴史も記録されております。
誰にでも優しく 争いを嫌い支配や上下の関係を嫌います。
ですので こちらが誠実に接すれば必ず うまくいきまする。
この書物を参考にしていただければ…。
分かった 分かった。
それは またの機会に大久保[外01]にも お伝えいたすゆえこれから会議や 出ていけ。
長官
!出ていけ
!東久世長官が 北海道に出立されたとはまことでございまするか?まことじゃ。
なぜ それがしに北海道赴任の命が下らぬのでございますか
!おいに聞かれても分からん。
大久保[外01]にお聞きしたい。
大久保[外01]は それがしに役名と官位を与えて利用するだけで北海道で仕事を任せるお気持ちはないのでございましょうか?知らん
! ふん
!開拓判官 松浦武四郎にございます。
何事だ。
それがしを 一日も早く北海道にお送りくださいませ。
そのことを大久保様から。
北海道のことは東久世開拓使長官に任せてる。
大久保様… 大久保様 お待ちください
!それがしを…それがしを 一日も早く北海道へ。
大久保様 一日も早く…
!ばかくさい
!(雷鳴)ばかくさい…。
ばかくさい…。
武四郎は 明治政府の職を辞した。
[外9390]~(三味線と歌声)(笑い声)はあっ…
!いかがなされました?夢を見た。
新政府の役人たちが酒宴を開いていた。
そこに供されていたのはアイヌの人肉 臓腑。
それをアイヌの亡霊たちが見ており…。
ここのところ 毎晩 見るのだ 同じ夢を。
同じ夢?わしは幕府のお雇いの身分になりながらアイヌの窮状を何一つ救えなかった。
新政府になってからも…。
そのようなことはございませぬ。
いや そうなのだ。
わしは何もしなかったのだ。
その罪は許されぬ。
北海道のことを多くの人に知らせるのはわしの使命だ。
それは今も変わらぬ。
されど 北海道の地を再び踏むことはできぬと思う。
リセに合わせる顔もない。
市助 お前に頼みがある。
先生。
先生のお気持ちは分かりました。
私が北海道に帰ります。
先生の代わりに北海道のために働きまする。
市助… よく言った。
お前ならできる。
お前なら アイヌと和人の懸け橋になれる。
きっとなれる。
久しぶりに彫ったのであまり うまくいかなかったがのう。
「市児火」…。
市助ではない。
イチニカだ。
母も 先生から頂いた印をいつも お守りのように首から下げておりました。
達者で暮らせよ。
はい。
先生の お志は私が北海道で果たします。
北海道を頼んだぞ。
さあ 行け。
お前が時代の先頭を歩むのだ。
おさらばにございまする。
[外9390]~武四郎は 維新の英雄ではない。
だが 松浦武四郎なくして今日の北海道はない。
[外9390]~